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水辺に浮かぶ時のかたち@大阪中之島

水辺に浮かぶ時のかたち@大阪中之島

目次

    水辺と建築が重なる街中之島

    大阪の都市空間において、中之島ほど建築と水辺の関係を鮮やかに物語る場所はないでしょう。堂々と川に浮かぶように広がるこの中州は、古くから行政・文化の中心として人々を迎えてきました。
    市役所や図書館、そして中央公会堂の赤煉瓦が象徴するように、この島は水都大阪の顔ともいえる場所です。

    中央公会堂が象徴する歴史的景観

    とりわけ中央公会堂は、中之島を訪れる誰もが一度は目を留める建築です。

    辰野金吾と片岡安が手がけたその姿は、赤煉瓦と花崗岩のコンビネーションが織りなす「辰野式」の典型。
    日本近代建築の巨匠たちが関わり、構想と修正を経て完成したそのプロセス自体が、中之島の歴史を映し出しています。文明が川のほとりから芽生えたように、公会堂もまた水辺に根ざし、都市の記憶を重ねてきました。

    黒い箱が語る現代の都市性

    一方、現代に生まれた大阪中之島美術館は、遠藤克彦の設計による硬質な黒の箱。大阪がかつて「湊の都市」であった記憶を内包し、かつて船が入り込めるように設計されていた痕跡が、川との結びつきを想起させます。

    木造化が進む時代にあって、構造躯体の鉄骨と黒い外壁のコンクリート板で組み上げられたその量感は、文明の力強さを象徴するかのようです。

    実現しなかった未来が映す、中之島のもう1つの姿

    安藤忠雄が構想した「アーバンエッグ」計画は実現こそしなかったものの、中之島全体を文化複合体へと変貌させるという発想は、都市と建築の関係を根源から問い直すものでした。
    既存の景観を守りながら、地上に影響を与えず地下に文化を広げようとしたその提案は、「水辺の島」という特異な地勢を建築の力でどう活かすか、という挑戦の象徴です。

    次世代にひらかれた、水辺の読書空間

    安藤はまた、「こども本の森 中之島」を通じて、未来の世代に向けた空間を贈りました。全面本棚に囲まれた吹き抜けの迷宮、ふとした瞬間に現れる川の風景。
    子どもたちが本を片手に空間をさまよいながら、水辺と読書を自由に行き来できる場は、まさに建築と都市がつくる遊び場といえるでしょう。

    自然と建築が交差する風景

    さらに安藤は、中之島を中心とする淀川沿いに3000本の桜を植える活動にも関わりました。春には壮大な桜の帯が川辺を彩ります。
    その流れに寄り添うように架けられた「新桜宮橋」もまた、彼の手によるもの。
    大きく弧を描くその姿は、満開の桜と呼応しながら、水辺の都市景観に新たなリズムを与えています。

    歴史と現代、壮麗と素朴、夢想と実現。中之島にはそのすべてが共存し、水辺という舞台装置がそれらをゆるやかにつないでいます。
    川の流れに映し出される建築の姿は、大阪という都市が過去と未来を行き来しながら進化し続ける証。中之島はまさに、「水辺の建築博物館」と呼ぶにふさわしい島なのです。

    作者プロフィール

    森本初雄
    建築家 一級建築士
    moKA建築工房 代表取締役
    愛知産業大学建築学科 非常勤講師
    名古屋モード学園インテリア学科 非常勤講師

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