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理性の緑と、空への夢@グラングリーン大阪&梅田スカイビル

理性の緑と、空への夢@グラングリーン大阪&梅田スカイビル

目次

    都市のポテンシャルが集約する場所、うめきた

    新たな商業施設やオフィスビルが次々と開業し、大阪・梅田は今、大きな都市更新のうねりの中にある。その核となるのが、旧梅田貨物駅跡地約24ヘクタールに広がる「うめきた」エリアだ。
    JR大阪駅をはじめ、私鉄・地下鉄あわせて4社7駅が交差するこの場所は、西日本最大の交通結節点であり、都市のポテンシャルが最も凝縮された地点でもある。

    「うめきた2期」の結実、グラングリーン大阪

    長らく「うめきた2期」と呼ばれてきた貨物駅跡地開発、その結実が「グラングリーン大阪」だ。地区面積約9万1千㎡のうち、半分以上を緑地が占めるという大胆な構成は、東京を含めても類例がない。
    この緑地は大阪市の都市公園として位置づけられ、ここを公園にするという大阪府・市の判断自体が、都市の価値をどこに置くかという明確な意思表明だったと感じる。

    人と都市、生態系が重なる居場所

    なぜ人はここに腰を下ろしたくなるのか。芝生の心地よさはもちろんだが、それだけではない。視線を遮らず、身体を自然に預けられる段差や勾配――ごくささやかな寸法操作が、無意識の滞在を生んでいる。

    さらに、この公園は人間のためだけの緑ではない。都市に点在する緑地を“飛び石”のように行き交いながら生きる鳥たちにとっても、都市を横断する生態系の回廊として機能し始めている。

    Osaka MIDORI LIFEという思想

    計画コンセプトは「Osaka MIDORI LIFE」。みどりとイノベーションの融合、そして偶然の出会いが新たな価値を生み、社会を持続的に更新していくという思想が据えられている。参加型プログラムやシーズナルイベントを通して、公園を「自分の場所」と感じてもらう仕掛けも用意されている。

    北側エリアには、安藤忠雄氏が設計監修を手がけたミュージアム「VS.」が置かれ、SANAAによる三つの山が連なる大屋根が、風景としての記憶を静かに刻む。

    インバウンドと都市機能が重なる場所

    梅田は、インバウンドビジネスを抜きに語れない都市でもある。交通、オフィス、商業、エンタメが徒歩圏に集積し、国際会議や展示会、公園を含めた都市全体を舞台にしたイベント展開も可能だ。仕事のあとに、食や観光へと自然につながる都市の連続性は、世界に誇れる強みだろう。

    工事中の風景と、孤高の超高層

    一方で、私の記憶にあるうめきたは、学生時代からずっと工事中で、梅田スカイビルだけが孤高の存在として立っていた風景だ。

    1993年竣工、原広司による世界初の連結超高層建築。2025年1月に原が他界し、いま改めてその思想が読み直されている。2棟を空中庭園でつなぎ、高さ170mで人が風を感じる――高層建築は袋小路ではなく、外に開かれるべきだという宣言だった。
    着想の一端が映画『タワーリング・インフェルノ』にあったという逸話も、人間的で象徴的だ。

    夢の建築と、理性の都市装置

    グラングリーン大阪は、環境負荷もリスクも抑えた、きわめて賢い都市装置である。曲面で統合された緑と商業のバランスも洗練されている。だが、ふと立ち止まって考える。これは、誰かに夢を見せる建築だろうか。

    30年前、好景気の熱量の中で、無謀とも思える構造を本気で実現しようとした梅田スカイビルと、理性の時代に生まれたグラングリーン。その対比を考察することこそ、いまの大阪・うめきたを読み解く、最も豊かな入口なのだと思う。

    作者プロフィール

    森本初雄
    建築家 一級建築士
    moKA建築工房 代表取締役
    愛知産業大学建築学科 非常勤講師
    名古屋モード学園インテリア学科 非常勤講師

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